Serato Studio のβ版が公開されてから途中何度かのアップデートやサウンドパックの配布などもありながら使わせてもらいました。正式なサービス開始前に触れてとても楽しかったです。今回はSerato Studioβ版レビューのまとめとしてトータルの感想を書いていきたいと思います。
Serato Studioを2ヶ月使用してみて
Serato Studioのβ版が公開されてから一ヶ月間使用してきましたが、まずはどんな点が良かったかまとめていきます。
とにかく手軽な印象
何はともあれこれだと思います。
今まで使用してきたアプリなども含めてサンプリングしてシーケンスを組むというワークフローのものの中ではダントツで手軽だった印象です。その大きな要因は後述する録音しないサンプリングとトラック制作におけるキューポイントの活用だと思います。
おかげで気が付いたらコントローラーなどを使わず、キーボードのみで制作するのに慣れてきていたので文字通りノートPCのみで制作していました。
Seratoのオフィシャル画像を見ても正にそのような使い方を目指して設計されたのではないかと感じます。
そういった手軽という意味ではサウンドカードなどを経由せずPC直刺しのヘッドホンやAir podなどで聞きながら制作するのもいいのかななんて思いました。
録音しないサンプリング
伝統的なサンプリングベースのトラックメイキングではターンテーブルからサンプラーへサンプリングしサンプラー内で波形編集しパッドにアサイン後、はじめて叩ける状態となり、その上でシーケンスを組んでいました。そのためサンプラー機器の中で音声ファイルの管理も行う必要がありました。
一方、Serato Studioにおいては基本的にサンプリングするという考え方ではなく音声ファイル全体の中のどの部分をどのくらい、どのように使用するかをキューポイントで操作し、その動きを記憶してシーケンスを組んでいます。
伝統的な手法からはかなりかけ離れた方法ですが、大きな利点としてSerato Dj proのなかのプレイリストがそのまま読み込め、ファイル管理が非常にしやすいという部分があります。
またハードウエアサンプラーと比較してマウス操作やPCの大画面でスタート、エンドポイントを設定できる点も大きいです。
従来のハードウエアやDAWソフトと比較してサンプリングをしないということで短縮される作業量は圧倒的と言えます。
また従来の方法では少なからず複数の機材を経由する作業となるため録音レベルや接続、設定などもする必要がありましたがSerato Studioにおいてはすべて一つのソフトウエア内で完結するためそれらを気にする必要すらありません。
またハードウエアサンプラーと比較してマウス操作やPCの大画面でスタート、エンドポイントを設定できる点も大きいです。従来のハードウエアやDAWソフトと比較してサンプリングをしないということで短縮される作業量は圧倒的と言えます。
また従来の方法では少なからず複数の機材を経由する作業となるため録音レベルや接続、設定などもする必要がありましたがSerato Studioにおいてはすべて一つのソフトウエア内で完結するためそれらを気にする必要すらありません。
とにかくシンプルでわかりやすい
この部分はSerato Studioの開発において相当重視したのではないかと思います。少しでもDAWソフトウエアを触ったことがある方なら全貌を理解するのに1~2時間もあれば十分なのでは?というくらいにシンプルで適当なトラックであれば数分で形ができてしまうのではないでしょうか。
キューポイントの提案機能
Serato Dj proのプレイリストから音源を読み込むとSerato Studioが勝手におススメのキューポイントを付けてくれます。(もちろんSerato Dj proで設定したポイントも読み込めます)
私、個人的にはこのキューポイントの提案機能が結構気に入っていて普段の自分では配置しないようなところにキューポイントを付けてくれたりするので自分の手癖以外の「偶然」に出会うことができたりします。
もちろん提案されたキューポイントでも気に入ったポイントを残してそれ以外は自分の好きなポイントに変更することも可能です。
これから期待すること
正直、かなり使いやすくわかりやすい印象のため不満な部分があまりありませんでした。しかし今後のアップデートで期待したい点があるので記載していきたいと思います。
Serato DJ pro周辺機器の早期MIDI対応
私は現在、RaneのSeventy-twoというスクラッチミキサーを使用していますが、早いところパッド操作やオーディオI/Oの詳細設定、FX操作などのMIDIコントロールに対応してほしいと思いました。
Serato Dj proとの同時起動の連携
現在、警告ダイアログは出るもののSerato Dj proとの同時起動は可能です。しかし、Serato Studio側でサウンドカードの詳細設定ができないためDVSと同時に発音してしまうため一緒に使用することができません。
今後は同時起動でトラックを制作しながらリアルタイムでのDj mixを試してみたりやSerato Studioで作り途中のトラックをSerato Dj proのDVSでプレビューなどにも対応してほしいなと思っています。
Ableton Linkの対応
現在ソフトウエアはもちろんアプリなどでも対応が進んでいるAbleton Link。これについてはSerato Dj proがすでに対応済みなのでそう遠くない未来かと思っています。
サウンドパックや音源の追加、アップデートの頻度
この部分については多くのユーザーが同じことを考えているのではないかと思います。
サブスクリプション型のサービスで提供する以上、ある程度定期的に音源の追加やアップデートが行われる必要がありますし、この部分はメーカー側の姿勢も問われるところでしょう。
VSTプラグインで起動
現在Serato Studio内でプラグインのソフトウエアが起動できますが、Serato Studio自体もAbleton LiveなどのDAWソフト内でVSTプラグインとして起動してくれるようになったら良いなと。NIのMASCHINEは既にこれに対応済みとなっています。
専用コントローラーの発売
これについてはSeratoがSerato Studioローンチの際に言っていた内容と逆行するためあまり期待はできませんが、専用コントローラーがあればソフトウエアのみでも早いワークフローがさらに早くなるのでは・・・なんて思っています。
クリップ機能の実装
最後の希望としてはAbleton Liveで言うところのクリップ機能です。これはTRAKTORのRemix Deckにかなり近いものになると思いますが主体がDAWかDjソフトウエアかという部分で異なりますね。この機能が実装されればDjとプロダクションの境目がより一層無くなっていくのではないでしょうか。
まとめ
今回、Serato Studioの正式なサービススタート前に体験できたのはとても良い経験でした。このようなプログラムに参加するのは初めてでしたが、思っていた以上に楽しかったです。おかげでSerato Studioの正式なローンチがとても楽しみになりました。
以前の発表では1ヶ月単位から利用できるとのことでしたので本記事を見て使ってみたいと思った方はぜひサービススタートの際に利用してみてください。
個人的にはDAWがわかりにくい、サンプリングをしたくてハードを買ったけど挫折したというような方にこそおススメのソフトウエアだと思いました。
既にSerato Studioのサービスを利用する!と決めている方はサービススタートまでにネタ音源を数多く入手してライブラリを充実させておくことをおススメします。