KIEA製の棚「KALLAX」でDJブースをDIY制作

Serato Studio Beta版 レビュー

Serato Studio Beta版 レビュー

このブログを始めてからSerato DjやSeventy-two絡みの記事ばかりになってしまっていますが、今回はDj関連ではなく制作ソフトの Serato studio について投稿してみようと思います。

昨日ローンチされたSerato Studioですが、Beta版を公開しているとのことだったので早速ダウンロードおよびインストールをしてみました。

軽く触ってみた感想なんかを書いてみようと思います。

Serato Studioのコマーシャル画像

Serato Studioとは

Serato Studioは2019年3月28日にローンチされたDj向けに開発されたプロダクションソフトウエアで私も長く愛用しているソフトウエアSerato Dj proを開発するSerato社の新ソフトウエアサービスです。

serato studioの概要動画

提供方法

どうやらSerato Studioはパッケージやダウンロードなどの販売ではなくサブスクリプション型の月額制サービスとして提供されるようです。

ソフトウエア内にはサンプル素材やシンセ音源なども含まれており、基本Serato Studio内で曲作りが完結できる仕組みになっています。

リリースのスケジュールと価格設定

正規版となるVer.1.0のローンチは今年の夏ごろになるようです。サブスクリプションの月額利用料金は発表されていませんがソフトウエアの使い勝手次第では実に気になるところです。

Serato Studioのメリット

やはり一番のメリットはSerato Djシリーズに慣れ親しんできたDj達にとって親近感のあるUIとライブラリをベースに音作りができるという部分ではないでしょうか。

さらに言えばUIはソフトウエアだけでなくSerato Dj のオフィシャルアクセサリー(ミキサーやパッド、各種コントローラーなど)を使ってトラック制作ができるというのも大きなポイントだと思います。

Serato社のChief Strategy Officer 、Nick Maclaren氏もローンチの際、「Serato StudioはDjにとっての金銭的な障害とソフトウエアを習得するまでにかかる時間的障害のなど解決することができるため本来時間を費やすべき音楽づくりそのものに集中できるようになる」というようなことを言っています。

Serato社のソフトウエアにSerato Sampleというソフトウエアがありますが、これはAU、VSTで動作するプラグインソフトウエアのため制作をしようとした場合、何かしらのホストDAWソフトウエア(Pro toolsAbleton LiveCubaseなど )が必要でした。

しかしSerato Studioはそれ単体で制作環境が完結するためソフトウエア環境面においてもコストを抑えることができると言えますね。おそらくSerato Studioで作った音源をDAWに取り込んでさらに作りこみやマスタリングを行うというようなワークフローになるのではないでしょうか。

これまでAbleton Live+Ableton PUSHTRAKTOR+MASCHINEなど業界トップを走る各メーカーからさまざまなDj+プロダクションのスタイルが提案、発表されてきましたが、今回のSerato StudioのUIを初めて見た時、何よりも「わかりやすさ」「シンプルさ」「Djにとっての使いやすさ」などを最優先した製品だということがすぐに感じ取れました。

Beta版のダウンロード

私は発表を知って「すぐに触ってみたい!」という思いから即Beta版に申し込み即ダウンロードすることができました。

しかし申し込みページを見たところBeta版の対象者数には制限が設けられており、一定人数に達したところで受け付けは終了になるとの表記がありました。

ダウンロード当日は時間が無くほとんど触れませんでしたが、翌日再度該当のページを確認したところ既にBeta版対象者は満員に達したとの表記になっていました。

serato studioのベータ版受付終了の画像

日本国内では私を含め何人くらいダウンロードできたのか気になります。

Serato Studioのレビュー

メイン画面

Serato Studioのメイン画面

こちらがSerato Studioのメイン画面です。Serato Dj愛用者にはとてもなじみのあるUIだと思います。cueポイントの色やライブラリなどとても親近感がある印象を受けます。

ザっと見たところDTM経験者やDAWユーザーの方であれば一通りアイコンや配置、モジュールの見た目でなんとなく役割と機能が理解できるのではないかと思います。

さらにSerato Djの経験者であれば両者を一画面にまとめた印象を受けると思います。正確にはSerato Sample+Serato Djのようなイメージかもしれませんね。

では各部を一つずつ見ていきたいと思います。

サンプラー

Serato Studioのサンプラーセクション

波形部分を見るとSerato Djによく似ています。Serato Djライブラリーからロードした場合、BPMやグリッド、色付けを含めたCUEポイント、keyなどがSerato Studio上でも反映されます。

AttackやRelease、Reverse、key、Tempoの設定、右端のミキサーでは各パッドごとのGain、EQ、Filter、音量が調整ができます。

CUEポイントの種類

いいと思ったのはCUEポイントの設定に何種類かあるという点です。先述の通り、serato Dj上で設定したCUEポイントが反映されるのはもちろんですが下記画像のように「Find Sample」、「Set Random」、「Serato Dj」、「Set Slicer」の4種類があります。

後者2つは想像がつくと思いますが、前者2つはソフトウエアが自動でCUEを設定してくれるようです。

確かにDjの際に使用するCUEポイントが必ずしも制作に適した良いサンプルとは限らないためCUEポイントを分類する機能は必須になりますね。

その中で「Find Sample」はソフトが自動で良いサンプルを見つけてくれるので自分ではCUEポイントを打たないような場所も提案してくれたりしますね。

この機能は自分が意図していない良い結果が得られる可能性も大いにありますね。

Serato Studioのcueセクション

右上にある鍵盤マークを押すとCUEポイントを音階化することもできます。隣にある「Play In Key」を押すとSerato Djと同様に8パッドで音階を扱うことができます。

Serato Studioのcue、key状態

シーケンサー

シーケンサーセクションはこんな感じになっています。扱えるのはライブラリ内のワンショットサンプルを使用した一般的なグリッドのドラムシーケンサー(打込入力も可能)、ライブラリ内のサンプル音源を使用したサンプラーと内蔵シンセ音源になります。

Serato Studioのシーケンサーセクション

左端のミキサー部ではサンプラーセクションと同様にGainやEQ、Filter、音量が調整できますが制御の範囲1トラックごとになります。 各トラックのシーンサイズは上部の「SCENE SIZE」で調整し、展開は下の「+」が並ぶスロットで管理します。「Intro」はデフォルトで配置された状態になっています。

右上にあるロボットマークをONにすると下記写真のようにエンベロープを調整することができます。

Serato Studioのシーケンサーエンベロープ画面

MAKE機能

「Drums」選択時は「SCENE SIZE」下に「MAKE」のプルダウンが出てきます。

Serato Studioのmake機能

ここにはMIDI情報のプリセットパターンが用意されておりドラムキットにワンショットサンプルをアサインするだけでRandom、Dance hall/Latin、Drum&Bass、Dubstep、EDM、HipHop/Rap、House/Techno、Indie/Rock、R&B、Reggae/Dub、Trapの11種類から選ぶことによって簡単にドラムパターンが作れます。ドラムパターンが良くわからないという方はこれをベースにして自分なりに変化させていくといいかもしれませんね。ちなみにドラムキットはデフォルトで14、ワンショットサンプル数で223サンプル収録されています。

ライブラリ

Serato Studioのライブラリ

この部分もやはりSerato Djユーザーには馴染みのあるUIだと思います。

Serato Djと異なるポイントは左側に制作する際、素材となる音源やエフェクト、作成したプロジェクトなどを管理するためにカテゴリ分けしたタブが追加されている点です。

カテゴリの内容とベータ版での各プリセット収録数

Serato Studioライブラリのカテゴリ
  • Serato DJ Library・・・・Serato DJ上で所有している曲数
  • Project・・・・・・・・・Serato Studioで制作したプロジェクトデータ
  • Drums・・・・・・・・・223サンプル
  • Audio Samples・・・・・54サンプル
  • FX・・・・・・・・・・・31エフェクト
  • Instruments・・・・・・45種類
  • Plugins・・・・・・・・インストール済みのAU、VSTプラグイン数

FX(エフェクト)

エフェクトは上部にある「FXボタン」を押すとサンプラーセクションとシーケンサーセクション両方に配置され、同時に3種類のエフェクトがかけれます。エフェクトはSerato Studioに内蔵しているものが31種類、そのほかはライブラリ内のAU、VSTが使用できます。アサインはライブラリからドラックアンドドロップでできます。

Serato Studioのエフェクト

サンプラーセクションのエフェクトは1サンプルスロットあたりに対して3つまで、シーケンサーセクションでは1トラックあたりに3つまでかけれます。

Serato Studio内蔵FX

  • Amphitheatre Reverb
  • Delayes Reverb
  • Dry Reverb
  • Light Tail Reverb
  • Drums Reverb
  • Beam Me Up Echo
  • Computer Room Echo
  • Dub Echo
  • Echo
  • Delay Double Up
  • Delay
  • Little Bird Flanger
  • Flex Flanger
  • Flanger
  • Phlex Phaser
  • Decimate Crusher
  • Light Sizzle Crusher
  • Lo-Fi Crush
  • Studda Fader
  • HPF
  • LPF
  • Modulated HPF
  • Modulated LPF
  • Stereo Pan
  • Wavey LPF
  • Wub Modulated LPF
  • Loudener EQ
  • Brightener EQ
  • Limiter Cruncher
  • Limiter Squeezer
  • Limiter
Serato Studioのプラグイン表示状態

VSTやAUのプラグインを使用した場合、一般的なDAWと同様、別ウィンドウで展開されそこで各パラメータを設定します。

タイムライン編集

serato-studioのタイムライン編集画面

ライブラ右端にある「Song View」を押すと前工程で作成したシーンを配置できるタイムラインが表示されます。ここへシーケンサーセクションで作成した各シーンをドラックアンドドロップで配置することで最終的な一つの楽曲として出来上がるという流れになります。

完成したらアプリケーションメニューの「File」から「Export Song」でwav音源が出来上がりです。

Serato Studioのこれから

今回のレビューはあくまでベータ版での内容であり、正式リリース時はある程度、変更や追加内容もあるかと思います。

しかし今回使ってみた感じ、サブスクリプション型のサービスであるということを踏まえると内蔵音源やエフェクトプリセットパターンはアップデートや日々の更新で徐々に充実していくのではないかと思います。

ちなみに私としては現在のベータ版の状態でも十分充実している内容だと感じました。

これから期待したいこと

個人的に正式リリースまでに期待したいのはSerato Djとの連携です。現在の仕様ではあくまでSerato Studioは単独で使われることをベースに作られていますが制作途中の状態をSerato Dj側のDVSでプレビューできるような機能は欲しいと思いました。

ユーザーは限定されるかもしれませんがバトルDjやDVSでスクラッチを楽しむ人はオリジナルのバトルブレイクスを作るようなことがあると思いますが、そのようなパフォーマンスを前提とした音源づくりをする場合に非常に便利だと思います。

Serato Dj proがリリース後、間もなく今回のSerato Studioが発表されたところから考えてもSerato Dj proの内部構造はSerato Studioとの連携も視野に入れて設計されていると思われます。そう考えるといずれAbleton Linkでの連携か、もしくはネイティブで連携するような機能は実装されることでしょう。

まとめ

とても簡単ではありますが、Serato Studioについて「自分だったらここが知りたい」という内容を書かせていただきましたがいかがでしたでしょうか?

Serato Studioがどんなものか知りたいという方や、ベータ版がダウンロードできなかったという方の参考になれは嬉しいです。

今までDAW、DTMに触れたことがあるという方は「とてもシンプル」という印象を受けると思います。最初にも書いた通り、いままでMaschineとTRAKTOR、Ableton LiveとPUSH、CDJ-2000nxs2+DJS-1000など、さまざまなスタイルでDjとプロダクションの垣根をなくすスタイルの製品が発表されてきましたがその中でもSerato Studioは1画面UIで操作子も少なく圧倒的に「シンプルで分かりやすい」という印象でした。

逆に言えば「作りこみ」という部分を極力減らし、その部分は専門のDAWソフトウエアに任せているのかなという感じですが、今まで「やってはみたいけど覚えることが多くて挫折しそう」とあきらめていた方には正にドンピシャの製品ではないでしょうか。

個人的にはKORGのGadgetシリーズくらい手軽に感じました。GadgetはiOS版しか使っていませんがとても分かりやすく好感度の高いアプリです。一言でいうなら「手軽に作れるけど、簡単すぎずオリジナリティーも出せる」といったところでしょうか。

セットアップに関してもSerato Dj対応ハードで対応できるのでSerato Dj環境でDjをしている方は極力機材を増やさず、金銭的にも負担を少なくできるのも良心的でいいなと思いました。

ここ10年ほどSeratoはDVSのDjソフトウエアに特化した製品を中心にリリースしてきたのでNative InstrumentsのようなDj+プロダクションという視線では見ていませんでした。

Serato Sampleのリリースで「おっ!」と思いちょうど最近使ってみようかな・・・と思っていたやさきに今回のSerato Studioのローンチがあったため今後のSeratoの期待値がグっと上がりました。

今までにTRAKTOR SCRATCHやRekordboxなども触ってみましたがなんとなく自分にはしっくり来ずずっとSeratoを使ってきましたがこれから面白くなりそうな予感がしています。

Serato Studioカテゴリの最新記事