KIEA製の棚「KALLAX」でDJブースをDIY制作

Djミキサーの機能や性能など検討する際にチェックしていること

Djミキサーの機能や性能など検討する際にチェックしていること
各種mixerの画像

Djを楽しむ人にとってDjミキサーの機能やエフェクト、入出力はパフォーマンスのスタイルを左右する重要な部分です。市場にはPioneer DJやALLEN&HEATH、RANE、Reloopなど数多くのメーカーや機種があり、Djスタイルやジャンル、優先すべき性能や要素で人それぞれ選ぶミキサーは変わってきます。色々な選び方があるかと思いますが、この記事では私がDjミキサーを検討する際にどのような部分をチェックしているかを書いてみようと思います。自分への備忘録を兼ねつつこれからDjを始める方や買い替えを考えている方の参考になれば幸いです。

1: 確認するスペック

1-1 基本スペック

・チャンネル数

チャンネル数の解説画像

検討する際にまず一番最初に注目する部分だと思います。これは何個の入力音をミックス(まとめることが)できるかということです。

しかしほとんどの機種の場合、各チャンネルに「PHONO入力(ターンテーブル)」と「LINE入力(例:CDJ)」の2系統が入力できるため2チャンネルミキサーの場合は合計4系統、4チャンネルミキサーの場合は8系統(機種によってはそれ以上)の入力が可能です。

ミキサーの入力端子、入力切り替えの解説画像

ここでのポイントは先にも書いた通り、1チャンネルに対し、合計2系統が入力はできますが、PHONOとLINEをスイッチで切り替えて使用するた、めあくまで1chで同時に再生できるのは1系統のみということです。例えば2chのミキサーに対し、左右のターンテーブル、左右のCDJで合計4台を入力しても、実際に出音としてミックスできるのは左右一台ずつということです。

ミキサーのphonoとline切り替えのスイッチを解説する画像

よってターンテーブル2台とCDJ2台の計4台で同時に3~4系統をミックスしたいような場合は4chミキサーを選ぶ必要があります。そのほかにもターンテーブル2台+ipadのアプリ、Ableton LiveのようなDAWソフトの音を使うというような場合でも3つ以上のチャンネルがあると便利でしょう。

逆にシンプルに2chのみあれば十分という場合は2chミキサーを選択すると思いますが、その場合も機種によってはsession inやAUXなどといったチャンネルとは別に独立した入力が付いていたりする場合もあるのでそういう機種の場合は後々3つ目の音も使いたいかも・・という場合も対応できたりします。

Djミキサーのクロスフェーダーのアサインを解説する画像

クロスフェーダーの割り当てについては2chのミキサーの場合、単純に入力音がクロスフェーダーの左右に割り振られますが、4chミキサーの場合は各チャンネルにどちらのクロスフェーダーに割り振るかのスイッチが搭載されています。

Djミキサーのクロスフェーダーのアサインを解説する画像

この部分についてはミキサー本体のトップパネルや背面パネルをで確認することができると思います。

・イコライザー(EQ) or アイソレーター

イコライザーとは入力された音を2~3つの周波数帯に分けてそれらを大きくしたり小さくしたり調整することができるチャンネルフェーダーの上に配置されたつまみです。高額な機種になってくると高音、中音、低音の3つに分けられていますがエントリーモデルや低額な機種の場合は高音と低音のみの場合が多いです。またイコライザーの場合はトップパネルに-○○Hz~○○Hzという操作できる周波数の上限と下限が記載されています。

DjmixerのEQとアイソレーターの説明

機種によってはイコライザーではなくアイソレーターが実装されているモノもあります。アイソレーターとはイコライザーに似ており、イコライザー同様2~3の周波数帯に分けられています。しかしイコライザーと異なるポイントは「-○○Hz~○○Hz」という一定の周波数幅ではなく、つまみを回し切たとき完全にその周波数帯を消すことができるということです。イコライザーの場合は-○○Hzの○○にあたる数値以下の周波数帯は完全にカットできず該当する周波数帯の音が残ります。しかしアイソレーターの場合はトップパネルの表記に-∞という表記になっておりすべてのつまみを左に回し切ると無音の状態になります。

機種によってはイコライザーとアイソレータの両方を実装していてスイッチで切り替えることができるものもあったります。

・フェーダー カーブとカットラグ調整

フェーダーカーブとはフェーダーを動かしていった際にどのような音量の出方をするかの設定です。

フェーダーを動かしていく際、Maxまで均等に音量が増えていくのが一般的な標準設定です。しかし、スタイルによっては0~70%くらいまでは音量の変化が少なく70→Maxまでの間でグイっと音量が上がる方が良いというDjもいます。そのような要望に応えられるよう音量上昇の特性を調節できる機能です。

スクラッチをするDjの場合はクロスフェーダーをほんの少し動かしただけでも音が出る方が望ましいためクロスフェーダーのカーブ調整機能は絶対必要な機能となります。またスクラッチに特化した機種の場合、フェーダーカーブ調整とは別にカットラグ調整という機能が付いている機種もあります。

Djミキサーのフェーダーカーブ、カットラグの説明

カットラグ調整とはフェーダーの動かし始めに存在する音量に影響しない数ミリのあそび部分の幅を極限まで狭くしたり、または広くしたりすることができる機能です。私もDjを始めて以来毎日のようにスクラッチを練習しておりますが、この機能があるミキサーは非常に使いやすいです。ただし、一定以上の高額機種にならないとついていない機能になります。

innofaderとproxfadeの説明

初めて購入するメーカーのクロスフェーダは情報や触った経験が無いため、万が一切れ味や感触が好みの使い心地ではなかった場合に社外フェーダーへの取り換えが可能どうかを調べたりもします。社外品のクロスフェーダーとして一般的なのはinnofaderやPro X Fadeの製品です。これらのフェーダーに変更するとカットラグや重さを調整できるようになります。

1-2 エフェクト(FX)

djミキサーのエフェクトについて解説

ある程度ミックスやスクラッチに慣れてくると欲しくなるのがエフェクターです。これは入力された音に山びこのようなエコーを付けたり、音を歪ませたりすることができる入力音を加工するための機能です。KORGのKaoss padやPioneer djのRMX-1000などのようにミキサー外部に外付けしてエフェクトを使うこともできますが、ここではミキサー内蔵型(ビルトインタイプ)について書いていきます。

・内蔵エフェクターとそのかかり方

エフェクターは内蔵している機種、していない機種さまざまですが、カットラグ調整機能と同様にこちらも一定以上の高額機種にならないと内蔵していない機能だと思います。また内蔵されるエフェクトの数も金額によって変わってきます。数あるエフェクトの中でも私が特に使用するのがEcho(エコー)とFilter(フィルター)、Reverb(リバーブ)、Roop(ループ)などです。

ここでのポイントはエコーやリバーブなどの残響音が残る空間系と呼ばれるエフェクトについてです。少し踏み込んだ話なりますがエフェクトのかけ方にはプリフェーダーとポストフェーダーの2つのパターンがあります。どちらが採用されているかは機種やメーカーによってマチマチで中にはこれらの切り替えができる機種もあります。

この2つがどう違うのかというと・・・ポストフェーダーは音がチャンネルフェーダーに流れたその後にエフェクトをかけるパターンです。これに対し、プリフェーダーは音がチャンネルフェーダーに流れる前にエフェクトをかけるパターンです。これらが操作上どう変わってくるのかというと・・・

ポストフェーダーの場合はエフェクトonにした後、チャンネルフェーダーやクロスフェーダーを切って音量を0にしても響音だけを残すことができます。しかし、プリフェーダーの場合はフェーダーより前の段階で音にエフェクトがかかっているため、フェーダーを切ると残響音(エフェクト音)の音量も一緒に0になってしまいます。スタイルにもよると思いますが、ほとんどのDjはポストフェーダーで使用しているのではないか思います。

またエフェクトをかけた後についても機種によって異なる点があります。上記の通り、ポストフェーダーエフェクトでフェーダーを切って残響音が残せたとしてもエフェクトスイッチをオフにすると残響音が消えてしまう機種とオフにしてもそのまま残響音を残してくれる機種があります。これは内部の回路設計によるものですが、この部分は各メーカーの製品ぺージに記載されていることがほとんどなく、公開されているマニュアル上の回路図で見る、もしくはメーカーにや販売店に問い合わせて確認するしかありません。しかしこれは空間系のエフェクトを多用するDjにとってとても重要なポイントだと思いますので、できたら購入前に実機を触って確認するかメーカーや販売店へ問い合わせるのが確実でしょう。

もう一点、チャンネルごとに独立したエフェクトとマスターエフェクトの違いについて触れておきます。2ターンテーブル1ミキサーのセットアップで例えると「チャンネルごとに独立したエフェクト」は左右別々にエフェクトをかけることができ、右のターンテーブルにはエコーをかけるけど、左にはかけないというようなことができます。これに対しマスターエフェクトはミキサーからの最終的な出音に対してエフェクトをかけるので前者のように左右分けて扱うことができません。高額機種であればスイッチの切り替えで選ぶことができるようになっていますが、エントリーモデルなどはマスターエフェクト一択しかできないというようなものもあります。

・Send/Returnの有無

send/return(センド/リターン)とは本項の冒頭に触れた外部エフェクターや外部サンプラーを使用する際に使う入出力端子やスイッチなどのことをいいます。

Djミキサーのセンド/リターンの説明

イメージ的にはセンドスイッチをONにしたときだけセンド端子から外部機器に音が流れ、エフェクターを通過した音がリターン端子へ戻ってくる感じです。基本的にセンド/リターンが付いている場合はチャンネルごとに独立してスイッチが付いていることが多いため各チャンネル別に外部機器にセンドすることができます。また機種にもよりますがDry/wetやRcvのつまみが付いている機種の場合は原音とエフェクター音の割合やリターンで戻ってくるエフェクト音を調整することができます。このセンド/リターンについてはポストフェーダー、もしくは両者を切り替えられる機種しか見たことがありませんが、空間系のエフェクトを使用した場合、前項と同様にセンドボタンをオフにした際の残響音の残り方は機種によって異なるためやはり事前に確認が必要でしょう。

・各チャンネルに別系統で搭載されているエフェクト

チャンネルエフェクト、soundcolorFXの説明

前項に記載したエフェクトとは別系統で各チャンネルに搭載されているつまみ一つで操作できるエフェクトで近年pioneer Djからリリースされているミキサーに搭載されている「sound color FX」やRaneのseventy-twoやNative instrumentsのZ2などに搭載されているFilterなんかがこれにあたります。先に書いた内蔵エフェクトと同時に使用することもできたりします。私も手軽に操作できる点と各チャンネルごとについていることから頻繁にエコーなどと一緒に使用するようになりました。

・ソフトウエアと連携したエフェクト

これはDVSのMIDIコントロール機能が実装されたミキサーにおいて、ミキサー側からソフトウエア上のエフェクトを操作するタイプのものです。機種やソフトウエアによっても異なりますが、このタイプでポストフェーダーでエフェクトをかけられるものもあります。先日の記事にも書きましたが、DDJ-SP1のような追加タイプのコントローラーでもエフェクトのON/OFF、エフェクトのかかり具合なんかをコントロールすることもできます。

1-3 オーディオインターフェース(サウンドカード)

serato、traktor、RekordboxのオーディオIOの説明

DVSソフトウエアのデータを送受信するためのUSBの挿し口が付いているかどうかという点です。近年発売されている製品でオーディオI/Oを搭載したミキサーのほとんどがSerato Dj pro、Traktor、Rekordboxのどれかに対応しています。RaneのSL3やNIのAudio6などのような外付けのインターフェースを追加する必要がなくなるため搭載されていると非常に便利です。またこのインターフェースはDVS用以外にもDAWの入出力にも使用できるため、またまたあると便利なわけです。機種によって何のソフトウエアに対応しているかは異なりますのでDVSを使用する予定のある方は確認必須でしょう。

1-4 MIDIコントロール

Rane Seventy-twoやNIのZ2、pioneer DjのDJM-S9などに搭載されているパッドやソフトウエアのプレイリストをコントロール、読み込みなどがコントロールできる機能です。これも機種によって大きく異なるため自分のプレースタイルに合わせて選ぶのが良いでしょう。MIDIコントロール機能が搭載されていない機種でも後からMIDIコントローラーを追加することもできるので必須ではないと思いますが、Djブース周りのケーブルや機材をできるだけ少なくしたいという方は搭載されているモノがよいでしょう。

Djミキサーに搭載されているMIDI コントロール機能の説明

追加型でコントローラーを使用する際のポイントは使用する予定のDjソフトウエアオフィシャルライセンスのコントローラーがおススメという点です。オフィシャルのモノでない場合、自分でソフトウエアの機能を割り当てるMIDIマッピングという作業が必要になります。これが思い通りに設定できればいいのですが、そういかない場合は方法を調べたりトライ&エラーを繰り返すハメになります。

MIDI コントローラーDDJ-SP1

尚、Serato Dj Proでは以前、オフィシャルライセンスのコントローラーのマッピングをデフォルトから変更することができませんでしたが、先日リリースされたvre.2.1.1ではオフィシャルライセンスコントローラーでオリジナルのカスタムMidiマッピングが可能になりました。

1-5 独自の機能やレイアウト

DJミキサーのレイアウトの説明

ここまでの内容で昨今のミキサーにおける基本的な部分の確認事項はカバーできていると思います。この項目でお伝えしたいのは各機種やメーカー独自の機能や性能です。例えばRaneのSeventy-twoではタッチパネル式のカラー液晶が搭載おり、エフェクトをXY pad(kaoss padのうような操作方法)で操作することができます。また前項でも書いたカットラグの調整なんかも画面でできるようになっています。またNIのZ2ではTRAKTORのRimix deckのMidiコントロールなども可能です。このようなその機種独自の機能や使い方なども事前に調べると良いかと思います。ほぼほぼ同スペックの機種でどちらにしようか悩んでいる場合などに決めやすくなるかもしれませんね。

2: 他の機材との連携

機材の連携、Ableton link、TR-syncの説明

先日の記事でも書いたようなAbleton LinkやRoland のドラムマシン用の規格TR-SYNCなどを使用して
Djソフトウエア+Dj 機材と制作系機材 のBPMを同期して使うような場合、それらの出力をDjミキサーにまとめられると便利なのでチャンネル数やオーディオI/O搭載のモノが良いでしょう。このように今後、他の機材との連携なども視野に入れるとミキサー選びも幅が広がっていきます。

3: メンテナンス

Djミキサーのクロスフェーダーのメンテナンスの説明

私はかれこれ20年近く機材いじりを楽しんでいますが、scratchをやっていることもありフェーダーは自分でメンテナンスしています。なのでフェーダーの構造がシンプルなものが好きなので購入前は分解した状態の写真なんかも調べたりしています。

※フェーダーメンテナンスの方法や解説は今後掲載する予定です(2019/3/24公開済み)

4: 価格

最後はやはり価格ですね。近年Djミキサーの相場は上がってきているように思います。10万円を超る機種になってくるとかなり大きな買い物ですよね。私の場合は基本的に買い替える際は前に使っていた機種をオークション等で売却してから買うようにしています。中には思い入れがあって残してあるものもありますが、メインで使用する機種はいつも1~2台です。

まとめ

いかがだったでしょうか。なかなか実機がないとイメージしにくい部分やわかりにくい部分が多かったと思いますが、ここにまとめた内容が私が実際にDjミキサーを検討する際にチェックしている内容です。今からDjを始める方や買い替えを考えている方などの参考になれば幸いです。

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